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メタバースをサクッと知りたい人向けにわかりやすく解説①

メタバースをサクッと知りたい人向けにわかりやすく解説①

どうも、ブルームテクノロジーのマーケティングリサーチ課スタッフです。

今回は市場調査として、注目度の高い「メタバース」をピックアップしてみました。

まだまだ黎明期といえるメタバースですが、今後どのように進化していくのでしょうか、そして今現在のメタバースはどのような状況にあるのでしょうか。

わかりやすく解説していきます!

メタバースとは

メタバースは様々な定義があるため一概には言えませんが、わかりやすく説明するとすれば「バーチャル空間に存在する経済圏を持ったもう一つの世界」と言えます。

これまでにも「セカンドライフ」のようにバーチャル空間でアバターを使って活動するサービスはありましたが、ブロックチェーン・XR・クラウドテクノロジーなどが進化したことによって、資産の創出と価値保存・より没入感のある体験・ビジネスへの応用といった可能性が大きく広がりました。近年話題の仮想通貨もメタバースの進化に影響を与えた要因と言えます

メタバース (英: Metaverse) は、コンピュータやコンピュータネットワークの中に構築された、現実世界とは異なる3次元の仮想空間やそのサービスのことを指す。日本における意味合いにおいては基本的にバーチャル空間の一種で、企業や2021年以降新たに参入した人々が集まっている商業的な空間が主にそう呼ばれる。将来的にインターネット環境が到達するであろうコンセプトで、利用者はオンライン上に構築された3DCGの仮想空間に世界中から思い思いのアバターと呼ばれる自分の分身で参加し、相互にコミュニケートしながら買い物やサービス内での商品の制作・販売といった経済活動を行なったり、そこをもう一つの「現実」として新たな生活を送ったりすることが想定されている。

Wikipedia

メタバースの条件

先ほどもお伝えしたようにメタバースにはさまざまな定義がありますが、米ベンチャー投資家でメタバースに詳しいマシュー・ボール氏は、メタバースといえる条件として以下の7つを提唱しています。

①永続的であること一時停止やリセットは存在せず、ずっと継続する
② 同期的(ライブ状態)である実社会と同じように常に同期していてライブ状態である
③ユーザーの上限なし人数制限がなく、アバターとして参加できる
④完全に機能した経済個人や企業問わず参加が可能。価値を生み出すことができれば報酬を得られる
⑤実社会との垣根なし実社会/サイバー、オープン/クローズ、プライベート/パブリックのように実世界と仮想空間が繋がっている
⑥相互運用性プラットフォーム同士の垣根がなく、自由に行き来やアイテムなどの交換ができる
⑦あふれるコンテンツと体験個人や企業がプラットフォーム内で様々なコンテンツ・体験を提供する

あくまでマシュー・ボール氏が提唱している内容ではありますが、主なメタバースの機能や役割は網羅されています。

とはいえ、現時点で全ての条件が揃っているメタバースがあるかと言われるとそうではありません。⑤実社会との垣根なし⑥相互運用性に関しては、技術面や社会へ浸透していないという点からも、まだ先の話といえるでしょう。

メタバースの分類

メタバースといっても様々な形態があります。明確な分類はありませんが、ここではメタバース内に経済圏を伴うソーシャル系、バーチャルオフィスのようにビジネスサポートとして利用するオフィス系、企業イベントやファンイベントに特化したイベント系に分類してみていきます。※独自の分類です。

ソーシャル系

ソーシャル系はプラットフォーム内にリアルな世界と同じように経済圏を持つタイプのメタバースです。現実世界と同様に建物・土地・お店・美術館・カジノなど、様々なコンテンツが用意されています。

Second Life(セカンドライフ)

元祖メタバースといえば間違いなく「セカンドライフ」。なんと2003年から運営開始しています。すでに独自の経済圏を持っていて、リアル世界と同様に土地の売買やデジタルアイテムの購入なども可能です。

引用元:Youtube_Second Life officialチャンネル
アバターリアルタイプ
仮想通貨リンデンドル
URLhttps://secondlife.com/?lang=ja-JP

The Sandbox(サンドボックス)

近年注目度の高いメタバースといえば「The Sandbox」です。ゲームで人気のマインクラフトのようなボクセルタイプ(四角いボックスを組み合わせて作るタイプのもの)の世界観が特徴で、企業・ブランド・著名人が参加しています。Sandboxでは、ゲーム・イベント・NFTアイテム作成・ゲーム作成など、様々なコンテンツを楽しむことができます。

引用元:Youtube_ The Sandbox officialチャンネル
アバターボクセルタイプ
仮想通貨SAND
URLhttps://www.sandbox.game/en/

Decentraland(ディセントラランド)

Sandboxと並んで認知度が高いメタバースといえば「Decentraland」です。オリジナルのアバターを作成し、メタバース内を散歩したり、ゲームやギャラリーなどのコンテンツで遊んだりとソーシャル的な要素が強いのが特徴です。またMetaverse Fashion Weekといったファッションショーや音楽イベントなどの多数開催されています。

引用元:Youtube_ Decentraland officialチャンネル
アバターリアルタイプ
仮想通貨MANA
URLhttps://decentraland.org/

XANA(ザナ)

XANAは多国籍IT企業のNOBORDER.zが開発を進めているメタバースです。XANAはより多くのユーザーに参加してもらえるようなコンセプトで設計されているため、モバイル・PC・VRなど様々なデバイスで参加可能な点や Play to Earn (プレイして稼ぐ※P2Eとも呼ばれる) やCreate to Earn(作って稼ぐ ※C2Eとも呼ばれる )といったユーザー向けのシステムを特化させているのが特徴です。またフジテレビ系列の企業やモデルプレスなど日本でも有名な企業がサポーターとして参加していたり、XANALIAというNFTマーケットプレイスでは鉄腕アトムやULUTRAMANなどのキャラクターNFTも展開しています。

引用元:Youtube_XANA officialチャンネル
アバターリアルタイプ
仮想通貨XANA
URLhttps://xana.net/ja/

EVERDOME(エバードーム)

Everdomeは火星へ移住するというコンセプトをもとに作られているメタバースです。UNREAL ENGINE5を使っているため、アバター・乗り物・構造物までリアルでハイクオリティなメタバースとなっています。Everdome内では土地の売買や広告を配信したりと独自の経済圏が展開される予定です。また開発企業がMetaheroという3DNFT作成技術を保持していることから、超リアルなアバターが利用できるということです。

引用元:Youtube_ EVERDOME officialチャンネル
アバターリアルタイプ
仮想通貨DOME
URLhttps://everdome.io/

ゲーム主体系

ゲームが主体系はゲームが中心となって構成されているタイプのメタバースです。

Axie InfinityのようにNFTでキャラを買って、育成したり戦わせたりするゲーム要素が強いのが特徴です。とはいえ、メタバース内にランドも存在しているので、ゲーム以外にも楽しめる要素がたくさんあります。またプラットフォームによってはアイテムを作成して販売するなど、 Play to EarnだけではなくCreate to Earn的な機能も実装されています。

Axie Infinity(アクシーインフィニティー)

Axie Infinityは Play to Earnの先駆けとなったゲームで、仮想通貨界隈では知らない人がいないというほど認知度が高いゲーム系のメタバースです。ゲーム自体はキャラクターを購入して敵と戦わせたり、育成したり、ランドを買ったりとシンプルな内容ですが、仮想通貨の高騰も重なったことで一気に人気がでました。ベトナムやタイなどのアジアでは Axie Infinityで稼いで家を建てたというツワモノがいるほどです。

引用元:Youtube_ Axie Infinity officialチャンネル
アバターキャラクタータイプ
仮想通貨AXS
URLhttps://axieinfinity.com/

元素騎士

元素騎士はもともと「元素騎士オンライン」というオンラインゲームから始まったメタバースです。これまでのメタバースは一から作成してユーザーを集めるという流れでしたが、元素騎士はすでに多くのユーザーがいた状態からメタバースを展開させた初めてのケースということもあり、ゲーム内トークン(MVトークン)の上場時には、短期間で数十倍という値段に跳ね上がりました。Play to Earn や Create to Earnのシステムが存分に組み込まれているので、今後も期待大のメタバースです。

引用元:Youtube_ 元素騎士 officialチャンネル
アバターキャラクタータイプ
仮想通貨MV
URLhttps://genso.game/ja/

Illuvium(イルビウム)

Illuviumはモンスター同士を戦わせるオートバトルのブロックチェーンゲーム(dapps)です。ポケモンのような感じで選択したモンスター同士を盤上のフィールドで戦わせたり、メタバース内で捕まえて育成させたりできるのが特徴で、ランド(メタバース内の仮想土地)の販売も行われています。 さらに初めて捕まえたモンスターには捕獲者の名前が永久に刻印されるというNFTならではの要素もあるようです。 Play to Earn界隈ではかなり期待値が高いブロックチェーンゲーム×メタバースなので要チェックです。

引用元:Youtube_ Illuvium officialチャンネル
アバターリアルタイプ
仮想通貨sILV2,ILV(ガバナンストークン)
URLhttps://www.illuvium.io/

STAR ATRAS(スターアトラス)

STAR ATRASは2620年の世界をイメージして作られている超ハイクオリティのメタバースです。 STAR ATRAS には3つの種族が存在し、広大な世界を舞台に実社会と同じような経済圏(宇宙開発・土地や資源の確保や売買・法律など)が構築されています。Unreal Engine5を利用して作られていることもあり、グラフィックにおいてはメタバースの中でもかなりクオリティが高いといえます。STAR ATRASで販売されている機体(NFT)を購入してセットすることで、ステーキングのような要素もあるので、気になる方はチェックしてみましょう。

引用元:Youtube_STAR ATRAS officialチャンネル
アバターリアルタイプ
仮想通貨ATLAS
URLhttps://staratlas.com/

ビジネス系

ビジネス系はデジタル空間を活用したオフィスワークやコミュニケーションの促進を行うために設計されたメタバースです。Meta社(旧Facebook)やMicrosoftが注力しているメタバースの一つでもあります。リモートワークが普及したことにより、Meta社以外にも様々な企業が参入してきています。

Horizon Workrooms

Horizon WorksroomsはMeta社が開発しているオフィスワーク用のメタバースです。デジタル空間でのMTGやオフィスワークのコミュニケーションサービスとして展開されています。基本的にはOculusようなVR機器をつけて利用します。ちなみにデジタル世界を楽しむようなメタバースとしては、Horizon worldというサービスを展開しています。

引用元:Youtube_Meta Quest officialチャンネル
アバターリアルタイプ(上半身のみ)
URLhttps://www.oculus.com/workrooms/?locale=ja_JP

Mesh for Microsoft Teams

Mesh for Microsoft Teams はMicrosoftが提供しているオフィスワーク用のメタバースです。 アバターで仮想会議室に集まってミーティングをしたり、イベントや展示会などを行うことも可能です。さらにHololens2を着用することで、MR(Mixed Reality)を使うことも可能なようです。MRは遠く離れた人を目の前の空間にアバターとして参加させたり、3Dデータを空間に表示させたりすることもできるので、メタバースとの親和性がとても高いといえます。

引用元:Youtube_Microsoft officialチャンネル
アバターリアルタイプ(上半身のみ)
URLhttps://docs.microsoft.com/ja-jp/mesh/overview

Bigscreen

BigscreenはVR会議・映画鑑賞・ゲームプレイなどを楽しむことのできるVRアプリよりのメタバースです。VRアプリよりということもあり、基本的にはVR機器をつけてデジタル空間に参加するスタイルです。特に特徴的なのは「The Bigscreen TV」「Bigscreen Cinema」といったテレビ番組や映画などを楽しめるコンテンツが揃っていることです。またPS4やXboxなどの家庭用ゲーム機も利用できるので、VR空間で大画面で楽しむことができます。

引用元:Youtube_ Bigscreen officialチャンネル
アバターリアルタイプ(上半身のみ)
URLhttps://www.bigscreenvr.com/

大手金融機関やリサーチ企業によるメタバースの市場規模予測

近年話題のメタバースですが、この新しい市場を世界の企業はどのように捉えているのでしょうか。メタバースの市場規模に関して、金融会社・メディア・リサーチ会社などが以下のような試算を出しています。

・米シティグループ

2030年までに8兆ドル(約980兆円)から13兆ドル(約1,600兆円)の市場となり、ユーザー数は50億人に達すると予想

COIN POST

・モルガン・スタンレー

「次世代のソーシャルメディア、ストリーミング、ゲームプラットフォーム」になる可能性が高く、8兆ドル(約980兆円)にも及ぶ巨大な市場規模である

MoguraVR

・Bloomberg

私たちの分析とNewzoo、IDC、PWC、Statista、Two Circlesのデータに基づくと、世界のメタバース関連の収益機会は2024年には8000億ドル(約90兆円)に達する可能性がある

Bloomberg

・Emergen Research

世界のメタバース市場は、2020年の476.9億米ドル(約5.5兆円)から2028年には8289.5(約90兆円)億米ドルへと、43.3%のCAGRで拡大すると予想される。仮想現実ヘッドセットなしでメタバースに接続するための複合現実(MR)の需要の高まりは、収益の成長を推進している。

PR TIMES

・グレイスケール

2020年の1,800億ドル(18兆円)から2025年には4,000億ドル(40兆円)に増加する可能性がある

coindesk

試算結果こそ各社で違いがあるものの、どの企業も数十兆円~数千兆円規模の市場になると予想しています。もちろんポジショントークの可能性もありますが、様々な業界の企業が予測をしている点から考えると、メタバースの成長性はとても高いと思われます。

そもそもメタバースで何ができるの?

大きく成長が見込まれるメタバース市場ですが、イメージばかりが先行してしまい、そもそも何ができるのかという点を理解している人は少ないのではないでしょうか。

実際にメタバースで何ができるのかを見ていきましょう。

・自作アバターで世界のユーザーと繋がる

メタバースの特徴として「誰でもどこでもいつでも」という点があります。メタバースは一般的なゲームと違い、自分が接続していない間も常に稼働しています。そのプラットフォーム内でオリジナルアバターを作成して、世界中のユーザーとコミュニケーションを取ることができます。

またメタバースはWEB3の概念を取り入れているため、ID/PWを作成して接続するのではなく、META MASKといったウォレットを接続して簡単に参加できる点も特徴の一つです。

Decentraland でイベントに参加している様子
引用元:Decentraland HP

・メタバース内のコンテンツで遊ぶ

メタバース内には映画館、ギャラリー、ミニゲーム、アトラクション、カジノなど、様々なコンテンツがあります。(実装されているコンテンツについては、メタバースによって違いがあります)

一人でNFTギャラリーを散策したり、友達と集まって映画を見たりなど、いろんな楽しみ方ができるのも特徴です。VR機器を利用すれば、より没入感のある体験ができます。

Sandboxでゲームを楽しむ
引用元: The Sandbox Official Youtube

・プレイして稼ぐ、アイテムを購入して稼ぐ

メタバースによってはコンテンツをプレイしたり、アイテムを購入してセットすることでトークンを稼ぐことができるものもあります。

Axie Infinity(アクシーインフィニティー)では、キャラを購入して戦闘させることでトークンを得ることができますし、Star Atlasではメタバース内で使用する機体を購入して稼働させることで、ステーキングのように毎日トークンをもらうことができたり、採掘した資源を売って収益を得ることが可能です。まさにプレイして稼ぐ「Play-to-earn」と言えますね。

Axie Infinityでキャラクター同士を大戦中
引用元:Axie Infinity Official Youtube

・アイテムNFTを作成+販売

メタバースによっては、メタバース内で使えるアイテムをNFTとして作成することができる機能があります。

SANDBOXではVOX EDITというツールを使って、ボクセルアート(四角いボックスを組み合わせて作るもの)を作成でき、さらに販売することも可能です。まさにCreate to Earnを実現した機能です。また元素騎士のようなゲーム要素が強いメタバースでは、入手した武器やアイテムをNFTとして販売することも可能です。

この要素は既存のオンラインゲームにも適用できるので、ゲーム業界によってブレイクスルーになる可能性を秘めています。

Sandboxでボクセルアートを作成
引用元:SANDBOX HP

・ゲームを作る

SANDBOXではSANDBOX_GAME MAKER(サンドボックス ゲームメーカー)というツールを使ってオリジナルのゲームを作ることができます。さらに遊んでもらう対価としてメタバース内トークンを得ることも可能です。

Sandboxでゲームを作成
引用元:SANDBOX HP

・イベントを開催する、参加する

メタバースの活用方法の中でも、多くの企業や団体が行っているのが「イベント」です。

イベントといっても音楽のライブイベントやコンサート、ファン同士の交流を目的としたファンイベント、ファッションショー、企業の説明会や新入社員のセレモニーなど、多種多様なイベントが開催されています。

海外ではジャスティン・ビーバーなど有名アーティストによるライブイベントが開催されています。国内でも世界最大のVRイベント「バーチャルマーケット2021」や「東京ゲームショー」などで活用されています。

メタバースはアバターを使って気軽に参加が可能なプラットフォームということもあり、イベントとの親和性が高いといえます。またデバイス(スマホ・PC・VR機器など)を利用すれば、世界中のどこからでも参加できるので、ユーザーの参加のしやすさという点でも企業が活用しやすいというわけです。

・Wave Presents: Justin Bieber – An Interactive Virtual Experience

引用元:Youtube_Justin Bieber officialチャンネル

Travis Scott and Fortnite Present: Astronomical (Full Event Video)

引用元:Youtube_Travis Scott officialチャンネル

・Marshmello Holds First Ever Fortnite Concert Live at Pleasant Park

引用元:Youtube_Marshmello officialチャンネル

・Metaverse Fashion Week

Metaverse Fashion Week
引用元:Metaverse Fashion Week

・東京ゲームショー2021

TOKYO GAME SHOW 2021のメタバース
引用元:TOKYO GAME SHOW 2021

・店舗を出店する、店舗で買い物する

メタバース内に店舗を出店することができます。

出店方法としては

①自分で所有しているランドに出店する

②ランドの所有者から一時的に場所をレンタルする

③出店専用のプラットフォームを利用して出店する

という感じです。

※ランドについては後ほど説明します

既にファストファッションを代表する「H&M」や日本の有名ブランド「BEAMS」、老舗の百貨店「大丸松坂屋」なども参入しています。三越伊勢丹はREV WORLDSというアプリ内で「仮想伊勢丹新宿店」を展開しています。

もちろん出店しているお店で買い物も可能。

メタバース内でウィンドウショッピングをしながら、気に入ったものがあればクリックといった感じで買い物ができます。

・H&M_メタバースショッピング

・バーチャルマーケット2021

バーチャルマーケット2021
引用元:バーチャルマーケット2021

・メタバースで働く

あまり知られていませんが、メタバースは遊ぶだけではなく、実は働くことも可能です。最近では「メタバースバイト」といった言葉も生まれています。

2021年に行われたバーチャルマーケット2021では、総勢171人もの方たちがメタバース空間でスタッフとして参加しています。

今のところイベントの案内係やショップでのオンライン接客などが多いようですが、今後も色々な職業が出てくる可能性がありそうです。

・バーチャルオフィスとして活用する

メタバースの活用方法の中でも注目されているのが「バーチャルオフィス」です。

VRヘッドセットを装着してリモートワークで仕事をしているスタッフと交流したり、遠隔地にあるものや人を3Dデータで再現してバーチャル会議を行ったりと、様々な使い方が検討されています。Facebookから社名変更したMeta社やマイクロソフト社もこの分野に大規模な投資を行っています。

Horizon Worksroomsの利用方法
引用元:Horizon Worksrooms

・ランド(メタバース内の土地)を所有する

先ほども少し触れましたが、メタバースには「ランド(LAND)」と呼ばれる仮想空間の土地が存在しています。ランドはメタバースのランドセールやNFTマーケットプレイスから購入することができ、リアル世界の不動産と同様に①賃貸②レンタル③転売などが可能です。

Open Seaでランド販売
引用元:Open Sea

①賃貸

ランドの所有者は、自分の土地に家やマンション、独創的な建物やオブジェまで様々なものを作ることができます。その建物をユーザーに賃貸として貸し出すことで、リアル世界の賃貸物件と同様に収益を得ることが可能になります。近年ではデジタル不動産と呼ばれる仮想土地専門の業者も存在しています。

HIP HOP界のレジェンドと言われるSnoopDoggがメタバース内にマンションを建てたことで話題になりました。

②レンタル

ランドのレンタルとは、イベントなどでランドを一時的に貸すことを指します。

メタバース内では音楽イベントやファッションショーなど、様々なイベントが開催されています。そういったイベントの際に一時的に仮想土地を貸し出して収益を得ることができます。

③転売

ランドの転売はリアル世界でいう不動産売買と同じです。購入したランドを買値より高く売ることで収益を得ることができます。

2021年ごろから仮想通貨への投資が加速したことや企業がランドを買うようになったこともあり、SandBoxのような有名なプラットフォームではかなり高額で取引されているのが現状です。OpenSeaやCoincheck NFTなどのNFTプラットフォームで売買されています。

とはいえ、未来を見据えて「ランドを保有しておきたい!」という方は、これからローンチされるメタバースのランドセールなどで安価に買えることもあるので、チェックしてみるのもお勧めです。

メタバース関連で新しく生まれてきているビジネスモデル

市場への大規模な投資が進むにつれて、メタバースに関連した様々なサービスが生まれています。

・アバターサービス

メタバースを利用する上で欠かせないのが「アバター」の存在です。現在はメタバース内の固有のアバターを設定するのが一般的で、プラットフォームによってデザインに違いがあります。

今後は自分のアバターをNFT化して、色々なメタバースで利用できるマルチユースアバターといった構想もあります。これがメタバースの条件のひとつでもある相互運用にあたります。そういったビジョンに向けて、増えてきているのがアバター作成サービスです。

ポップなデザインのアバターで人気あるアバター作成サービス「GENIES」は、海外セレブやミュージシャンのアバターを作成したり、海外ブランドとコラボしたデジタルアイテムも作成しています。

・GENIES

・バーチャル空間でのイベントを専門に取り扱うサービス

メタバース内での様々なイベントを専門に扱うサービスです。

下記の企業は自社の専用プラットフォームを利用して、企業内のイベントやファンイベントなどを開催するサポートを行っています。

メタバースでイベントをやりたいけど始め方がわからない・・・という場合に、こういったサービスがあると便利ですね。

オンラインイベントソリューション FUTURE EVENT Basics

メタバースプラットフォーム cluster(クラスター)

・バーチャル広告

バーチャル広告とは、その名の通りバーチャル空間で展開される広告のことです。デジタル空間ということもあり、3D広告や建物を利用した広告など、物理空間よりも自由度が高い広告が検討されています。

国内でも電通や博報堂といった大手広告会社が企業と協力して実証実験を進めていますし、2021年にはバーチャル空間での広告のあり方や情報交換を目的として「バーチャル広告協会」がNECを主体として設立されました。本格運用までには時間がかかりそうですが、新しいマーケティング施策として期待されています。

Admix

・メタバース求人サービス

先ほどメタバース内で働けるというお話をしましたが、実はメタバース内での仕事を紹介するサービスも始まっています。その名も「アバターワーク」です。

メタジョブ!」では、VRやメタバースに関する仕事など、様々なアバターワークを紹介しています。実際に2021年に行われた「バーチャル渋谷 au 5G ハロウィーンフェス 2021」には145人のアバタースタッフを派遣しています。

その他にも、「バーチャルワーク」の事業を展開する株式会社Gugenkaでは接客スタッフ・デバッカー・プロモーション活動などを手伝ってくれる人材を募集していたりと、メタバースで働くということが少しずつ広がりつつあります。

経済産業省が発表しているムーンショット計画に、アバターを使って仕事をする未来が描かれていたのを見て、『どうせ夢物語でしょ』と思っていたわけですが、現実になりつつあるということを実感しています。

・メタバースコンサルティング

今後大きな成長が見込まれるメタバースは、SNSのように多種多様な業界であたり前に活用される日が来るかもしれません。とはいえ、メタバースをどのように活用すれば良いか分からないという企業がほとんどでしょう。

そこで新しく生まれたビジネスが「メタバースコンサルティング」です。

メタバースコンサルティング事業を展開するPwC Japanグループでは、メタバース内での事業構想から、新規事業のデザインやマネタイズモデルの設計、さらに収集したデータの活用、システム開発まで、メタバースを活用するためのコンサルティングを行っています。

メタバースが普及するにつれて、企業の活用が増える可能性が高いでしょうし、世界中の企業が利用するとなれば、市場規模も大きくなると予想されるため、今後もメタバースコンサルティングビジネスへ参入する企業が増えていくと予想しています。

・デジタル不動産

メタバースの開発が進むにつれて、仮想土地=ランドの需要が急激に伸びてきています。そこで生まれたのが、仮想土地を扱うデジタル不動産です。

メタバースの不動産業界で注目されている企業「メタバース・グループ(Metaverse Group)」は、13億円以上をデジタル不動産へ投資し、仮想土地の取得・空間設計・その他メタバースの不動産に関する事業を展開しています。

メタバースは経済圏をもった世界を目指していることもあり、現実世界と同様に土地の重要性が高まる可能性は非常に高いと思われるので、今後もさまざまなデジタル不動産企業が生まれてくるかもしれません。

メタバースはキャズムを超えられるか

ここまでメタバースの基本情報や活用方法、そして市場規模予測や新しいビジネスモデルなどを紹介してきました。

まだまだ日常で利用するというところまでは至っていませんが、大手企業や投資会社が大規模な投資を行っていることから考えると、大きなポテンシャルを秘めている市場ということは間違いないでしょう。

しかし、メタバースは普及しないという見方をする人達がいるのも事実です。

今は新しいトレンド、そして黎明期ということもあり、世界のイノベーター達が投資を促進していますが、キャズムを超えられるかどうかはまだ未知数です。今後5~10年の間にメタバースが普及するかしないかがハッキリしてくると予想されるので、メタバースに興味がある方は常に市場の動向をチェックしておきましょう。