現役マーケターが考えるマーケティングの基礎とは?
<はじめに>
これから「マーケター」という仕事や「マーケティング」を学ぼうとする人にしてみると、「何から始めて」「何を学べばいいのか」という風に困っている方も多いことでしょう。
「マーケティングとは?」と問いかけた際に返ってくるのが、『何でもできる「便利屋」か「魔法の杖」』のような、マーケターからすると好き勝手を言われているかのような回答が多い気がします。しかし、日常の中でマーケティング思考に直面する機会が少ないのでそれは仕方がないのかもしれません。
そこで今回は、ブルームテクノロジーのマーケター担当である私が考える「実務に直結するマーケティングの基礎的な考え方」を紹介したいと思います。マーケティングイメージの参考となれば幸いです。
マーケティングの基礎とは?
正直なところ「マーケター」という仕事は、所属する会社や部署によって扱う業務や求められる結果というのは大きく異なります。基礎を抑えたからといって即座に戦力になり得るかと言われると正直難しいのが現状です。
では「基礎なんてないのか」と言われるとそうではなく、最低限おさえておくべきことはあります。それが下記の図で示した3つです。
◆知識と発想
「知識」に関して「料理」を例としてあげます。料理をする上で材料を並べて決まったように煮炊きしたとしても料理にはなりません。「料理」とするには「調味料」が必要で、それぞれの調味料が「どんな味」で「どんな働き」をするかということを理解していないといけません。つまり「マーケティング = 料理」というプロセスで見ると、「結果 = 料理」とした場合、「知識 = 調味料」にあたります。味や特徴をおさえていれば、様々な料理を生み出すことができます。
しかし、表層的な知識だけでは業務遂行にて難しい面もあるため、より深い部分の理解が必要となります。「砂糖」という調味料を考えても「グラニュー糖」「三温糖」「氷砂糖」「水あめ」と多種多様にあるように、「知識」についても場面に応じた「使い分け」が必要になってくることから、しっかりとした理解が必要になります。
「しっかりとした理解」に至ったかどうかを試す方法のひとつとして、「人が理解できる説明ができるか」というのが最もシンプルで確実な方法かと思いますので、是非試してみてください。
そして「知識」以上に重要なのが「発想」の部分になります。「知識」は正直どうにでもなりますが、「発想」というものは「適性」に近いものになりますので個人差が非常に大きくなりがちです。
具体的に言えば、「知識」は結果の根拠に対して「事実」を補填し補強することに寄与しますが、今後を考えていくうえで必要なのが「発想」になります。
今後のことを考えるときには、現状や様々な要因を取り込んだうえで「思考 → 想像 → 予測」というプロセスを踏む場合が多いかと思います。そういった時に既存の考え方を「新しく現実的に進歩させるきっかけ」を生み出す原動力が「発想」です。こればかりは天性もしくは経験や直感によるものなので、どうしたら体得できるかという点に関しては「人それぞれ」としか言いようがありません。
◆分析力
「分析力」=「統計」と考えがちですが、ここでいう分析力というものは、一般に言われる「分析」と少し異なります。どうしても数値的な部分から考えてしまいがちではありますが、マーケターの視点としては若干抽象的に考えるべきかと思います。
上図「なぜの思考」とは、一般的には数字的にココが増減したと注視し「なぜ増減したのか」という事実について探求するものですが、マーケターとしての思考として重要なのは、「事実」よりもその「増減を発生させた心理的要因」を明らかにすることにこそ価値があります。「心理的要因」を注視することで、次の思考へと繋がっていきます。
「なにがの思考」には「心理的要因」から直結するこが多い傾向にあります。例えば、あるCMの商品の売り上げが大幅に落ち込んだ場合に、そのCMに起用している俳優のスキャンダルが原因で好感度の低下という心理的要因が認められた場合に、「俳優の好感度の低下」によって「なにが売り上げ減少につながったのか?」を間接的に考えるヒントになります。つまり、より深く要因を探るプロセスを得ることに繋がります。
最終的な結果として「解答に対する思考」に至りますが、一般的な分析で得られた結果と異なり、マーケティングではそこから更に「なぜその解答に至ったのか」を考える必要があります。
なぜプロセスが増えるか疑問に至るかもしれませんが、ここで増えたプロセスが一般的な分析結果をより補強する見解や根拠となる場合が多いので、非常に重要なプロセスに繋がるということがポイントです。
◆視野とセンス
「マーケティング」の中で他の業種と最も異なる部分が「視野」と「センス」ではないかと考えています。
「視野」といわれると「広い視野のことですか?」とよく言われますが、どちらかと言えば「多角的かつ別の視点」という呼び方が近いかもしれません。「某ゲーム(赤い帽子の配管工)を見る視点」で人の動きを考えるのと、「レーシングゲームで運転席から見る視点」のどちらで人の動きを考える力があるかというのが最も簡潔な伝え方かもしれません。
ペルソナ(ターゲットの人物設定)やターゲットユーザー(どういった人たちがターゲットかの選定)等を考える際に、こういった視点に立つと一般的なフレームワークで考えるよりも、よりリアルな人たちを設定できる気がします。また、情報のキャッチアップ力も重要ではありますので、上記の様なスキルを身につけたいのであれば、通勤中に見られる風景や人を頭に留めておいて、頭の中で架空の人物が送る一日を想像するのもトレーニングになります。
最後に「センス」の話になりますが、これは視野から得られるものをいかに「リアル」に落とし込むことができるかという能力であると、個人的に定義づけています。「よくいるよね、そういう人」と言われるのは簡単ですが、その「よくいる人」を実際に存在する人かのように組み立てられると同義になります。
また、その人が置かれている周辺の環境まで「リアル」に構築し体感できるところまで持っていくことができれば、マーケターの能力として最高峰ではないでしょうか。
<最後に>
今回は、現役マーケターが考えるマーケティングの考え方について述べさせていただきました。より深いところや実践的な部分が知りたいという方があれば、是非ご意見をお寄せいただければ今後の励みになります。
DXやAIが発展はしていますが、思考や考え方となると、まだまだ人間が必要とされていることは多いです。数値だけを見るマーケターではなく、人の内面や心理に踏み込んで「自分でなければ出来ないマーケティング」をしたい方は、是非とも弊社の扉を叩いて貰えたらと思います。