あなたの無意識が教えてくれる!『インサイト×行動経済学』マーケティングへの活用術
こんにちは! データソリューション課のMです。
あなたは1日に何回、ものごとを決めていますか?
「何を食べよう」「何時にどこに行こう」など…
私たちの日常は、意識せずとも無数の意思決定のオンパレードです。実際、人は1日に約3.5万回もの意思決定を行うと言われてます。
この数字から私たちは日々の生活の中で、どれだけ多くの選択肢に無意識のうちに直面しているか分かりますね。しかも、自分でも気づかないうちにそう意思決定するように誘導されているのです。
それは人の隠れた心理「インサイト」と「行動経済学」から見ることができます。
※「インサイト」とは?
人間の深層心理。消費者が気づいていない欲求。95%の無意識領域
※「行動経済学」とは?
経済学と心理学を掛け合わせたもので、意思決定における人間らしい思考・心理を知る学問
インサイトと行動経済学を知るとどうなるのか?
経済学では、人間は合理的判断のもと行動するとされていますが、実際は外的要因・心理的要因などで合理的な判断ができないこともあります。ここに心理学の要素も用いることで、消費者の無意識の欲望を理解し、合理性の限界や心理的バイアスを科学的に分析することが可能になります。
そして、実際の消費者行動や投資行動などの経済的意思決定をより深く理解することを目指せるため、より効果的なマーケティング戦略を構築することができる(はず)と思います。
マーケティング領域にどう用いるのか?
インサイトと行動経済学をどのようにマーケティングへ応用するかですが、先ずは「行動経済学の原理」とは何かを理解することが大切です。その原理とインサイトを発見する為にどの観点に着目するかのイメージを合わせて考えていくことで、戦略的な思考が成り立っていきます。
インサイトの観点と行動経済学の原理について
1. インサイト発見の観点
行動パターン | 対象となる人々の行動に注目し、その中で共通するパターンや習慣を探す。特に反復して行われる行動には、深い洞察が隠されていることが多い。 |
ニーズと欲求 | 人々がどのようなニーズを持っており、何を求めているかを理解する。これには明確に表現されているニーズだけでなく、潜在的なニーズも含まれる。 |
モチベーション | 何が人々を動かしているのか、どんな動機付けが行動の背後にあるかを把握する。 |
課題と障害 | 人々が直面している問題点や障壁について理解し、それを克服するためのヒントを探る。 |
感情と価値観 | 人々の感情的反応や、その決定に影響を与える価値観を観察する。 |
コミュニケーションとインタラクション | 人と人とのコミュニケーションや、人と製品・サービスとのインタラクションを分析する。 |
環境と文脈 | 行動や意思決定が生じる環境や文脈を考慮します。物理的環境だけでなく、社会文化的な背景も含まれる。 |
2. 行動経済学の原理
損失回避の原則 | 人は損失を避けるために、より多くのリスクを取らないようにする傾向がある。限定オファーや緊急性を訴えるメッセージは、この原則を利用して顧客の行動を動機付ける。 |
アンカリング効果 | 最初に提示された情報が後の判断に影響を与える傾向がある。価格設定や製品の比較表示にこの効果を利用する。 |
デフォルト効果 | 人は選択肢を変更するよりも、デフォルトオプションを選びがち。サブスクリプションサービスにおける自動更新機能などがこれに該当する。 |
ナッジ理論 | 小さなプッシュ(ナッジ)で人々の行動を望ましい方向へ導く。商品配置やオプション選択を促すデザインなどに利用可能。 |
現状維持バイアス | 既存の状況や決定を維持しようとする心理的傾向のこと。人々は変更に伴う潜在的な損失を過大評価しがちで、既知の環境に留まることに安心感を覚える。損失回避の原則と関連している。 |
マーケティングへの応用例
① セグメンテーション
「1. インサイト発見の観点」に焦点を当て市場を細分化し、ターゲットオーディエンスごとにカスタマイズされたアプローチを取る。
例えば…
ステータスクオバイアスを用いて、新規顧客よりも既存顧客をターゲットにするセグメント戦略を立てる。
② プロダクトデザイン
消費者の潜在的ニーズを満たす製品をデザインし、より魅力的に感じさせるような特徴を盛り込む。
例えば…
ナッジ理論を用いると、健康を意識した食品のパッケージデザインに緑色を多用することで、「健康的」という印象を与える。
③ プロモーション
消費者の心理や行動パターンに訴えるプロモーション活動を行い、購買意欲を喚起する。
例えば…
損失回避の原則を利用して、限定セールや「先着○名様」などのタイムセンシティブなキャンペーンにする。
④ 価格戦略
99円や999円など安いと感じさせる心理的価格設定や、価格を先に提示した後に商品の割引後の価格を見せることで、消費者に「お得感」を持つと感じさせるアンカリング効果を利用した比較価格表示など、消費者の価格認識をコントロールする手法を使用する。
終わりに
今回はインサイトと行動経済学について、その定義とマーケティングへの応用ポイントを少しご紹介しました。
無意識の内にも意思決定を重ねる私たちですが、そのプロセスを分析し理解することで、より効果的なマーケティング戦略が可能になるでしょう。
深堀りしたい方は下記書籍や動画なども参考にご覧ください!
▼ おすすめ書籍
「欲しい」の本質―人を動かす隠れた心理「インサイト」の見つけ方|大松 孝弘/波田 浩之【著】
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中川先生のやさしいビジネス研究「行動経済学シリーズ」