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SNSネイティブとしてのZ世代 〜 どう育った世代?どんな時代を作る?

SNSネイティブとしてのZ世代 〜 どう育った世代?どんな時代を作る?

 前回の記事では、Z世代流のSNSの付き合い方とその感覚に関しての考察をしていきました。今回お送りするこの記事では、SNSネイティブであるZ世代がリアルではどのような苦しみを経験し、どのように乗り越えて生き抜いてきたのかを考察していきます。

Z世代が新しいプラットフォームを求める理由

 Z世代が新しいプラットフォームを求める理由として、そもそもZ世代そのものにSNSとリアルの両方で「居場所不足」という背景があるのではないかと思われます。もちろん思いつきや勘ではなく、これからご説明する世の中の流れから、Z世代は「居場所に恵まれなかった」「居場所を奪われる前触れに敏感」ではないかと推測できるのです。

旧世代との価値観・世界観のズレ

 「Facebookおじさん」という言葉は少し前にいろんな場所で聞かれました。旧世代との価値観・世界観のズレがかなり出てきているところとして、Facebookユーザーが若者から中高年になり代わっていく様子を考察する記事によくみられます。

 アピールや近頃の○○はといったモノ申す文などの投稿を鼻高々にしているFacebookおじさんを見てドン引きする若者は少なくありません。若者にはおじさんおばさんの仕事自慢や自分の人生経験アピールは一種のマウンティングとも捉えられがちです。

bransel『若者に嫌われるFacebookおじさんのあるある』

 おじさんになった今も精力的なので、自分は年齢より10歳以上は若いつもりでいます。「自分が一番輝いていた時代」で年相応の落ち着いた振る舞いというものができず、若者から煙たがられているのです。

charmy『あなたの周りにもいるはず!SNSおじさんあるある【Facebook編】』

 最初は若者が多数いたFacebookも徐々に中高年層にとってかわり、現在では多数派となっています。そうなれば、面と向かって押し付けられなくともフィードに流れてくる価値観や世界観はおじさん世代のものとなります。ましてや実名制のSNSとしては代表的なFacebook。それらに息苦しさを感じて逃げ出す若者が増えたとしても無理のある話ではありません。

リアルの居場所を奪われてきたZ世代

若者は地域から追い出される

 SNSの話題から若干遠い所になるかもしれませんが、下記の「若者は都会に追い出される」というギョッとするタイトルの記事にもZ世代が関わってきます。

 大人は若い人が地域に残りたいと思っていないというが、逆に若者向けの都市の機能や空間がないので、若者としては『追い出される』という印象のほうが強い【「Governance」2019年7月号P70~71より】

日刊サイゾー『若者は地方から追い出されている!? 人口流出を止めたい自治体がみるべき現実』

 2019年現在「若者」に分類される世代ならばZ世代にほぼ当てはまりますが、この記事では地方出身者のみの話のような印象も受けます。しかし実際にはそうではなく、例えばかの有名な渋谷ハロウィン騒ぎに加担する若者たちのインサイトを解析すると、大都市圏とその周りの地域に住んでいる若者世代の同様の「居場所」への欲求が浮かび上がってきます。

渋谷ハロウィンと「寂しい若者」

 渋谷ハロウィンでの騒ぎに関わっている若者たちを分析している碓井真史氏は次のように述べています。

 共同体は崩壊し、社会が拡大する中で、様々なトラブルが起きています。公よりも自分を中心に考える人も増えます。現代社会ではまた、孤独が広がって(中略)寂しい若者が増えています。明るくはしゃいでいても、実は愛されている実感がなく、拒絶されていると感じている人たちがいます。心理学の研究によると、自分は拒絶され、孤独だと感じる人々は、将来の見通しを立てることができず、逸脱行動を起こしやすくなります。

Yahoo!ニュース『ハロウィーン渋谷大騒ぎの心理学:迷惑行為、逸脱行為はなぜ生まれるのか』

 碓井氏の分析は、若者たちの地方から都市への流出という視点で考察すると、渋谷ハロウィンの騒乱に参加する若者たちの社会的背景を理解する助けになるかもしれません。

 ところで、都市から地方への若者の流出と渋谷ハロウィン騒乱には因果関係があるようには見えないでしょうか。ここ最近、地方から都市への一極集中が進行し学業や仕事のために地元を離れる若者が増えていることで、地方の人口は減少し高齢化が進んでいることというのは、みなさんご存じのとおりと思います。

 一方で、渋谷ハロウィンのような現象は、一時的な共同体を形成しますが抜本的な解決には至っていません。この傾向は、若者たちが直面する「居場所のなさ」や社会との接続の困難さを反映しているとも言えるのではないでしょうか。

Z世代が新しいプラットフォームを求める理由

 さて、そのようなZ世代の背景を見ると、「せめてSNSの中だけでも安心できる場所が欲しい」と願い、そのような環境を求めることは自然ではないでしょうか。

 そう考えると、Z世代がSNS選びを行う中で「心理的安全性への希求」、ならびにこれまで見てきた中で出てきた「エフェメラル性」「リアル性」がキーファクターとなってくると思われます。

 では、実際にZ世代がどのようなSNSを選んでいるかを分析すれば、実像が見えてくるかもしれません。先行研究とを探してみると、『Z世代が選ぶ!!「トレンド寸前!次世代SNS TOP10」』という記事が見つかりました。

 これらの新興SNSをポジショニングマップへまとめると下記のような感じになるかと思われます。そして、上記で挙げられている10のSNSから支持されているところを抜き出すと、以下の3つが抜き出せます。

  • リアルさと飾らない繋がり(=NauNau、Gravity、Yay!、MONIE、BeReal)
  • 良い/新鮮なもの(=mixi、Pinterest、くるっぷ)
  • 心理的安全性(=Bonfire、Snapchat)

 これらは、「リアルさと飾らない繋がり」が「リアル性」に含まれることはもちろん、「良い/新鮮なもの」が虚飾を排した”リアルに良い”ものとすれば同様にここに分類されるものですし、「エフェメラル性」も「炎上騒ぎなどを避けたい」という心理から支持されているとすれば「心理的安全性」に分類できます。

 これらを総評し、次項で若者のSNS選びについて見ていきましょう。

Z世代が注目する新たな機能とサービス

 「Z世代にとってSNSはインフラである」という話は、前回の記事でもお送りした通りです。ですが、単にインフラとして機能するだけではなく、どういったところが支持されているかとすれば「安心して使え、リアルへ地続きであることがちゃんと解る」ということではないでしょうか。

 その意味では、「安心して使える質実剛健なインフラ」というまとめもできるはずです。ですが、「安心」と「質実剛健」をもう一度定義する必要もありそうです。

ソーシャルネイティブ世代の選ぶSNS:革新性と多様性が鍵

 ここまでで、Z世代すなわちソーシャルネイティブ世代が選ぶSNSに関して様々な確度から解析してきました。前項でZ世代における「インフラ」としてのSNSを定義しましたが、これらは「安心」が「革新性」、「質実剛健」が「多様性」といえるのではないかと思われます。

安心=革新性

 安心が革新性、とは今一つピンと来ないかもしれませんが、それまでのSNSは炎上するのが当たり前、なんならバカッターなる言葉もあったりするくらいにSNSには不安定性がつきものでした。

 その意味では、「安心して使えるSNS」ということそのものが革新的であり、それそのものが魅力的なのです。もちろん、絶対に炎上しないSNSなど実際には存在しえないのでどちらかといえば「そうイメージされている」という方が的を射ているのかもしれません。ですが、そういう安心感を与えられることそのものがZ世代の支持を得ていることも、また実像から見いだせる要素の一つなのです。

質実剛健=多様性

 これもまたイコールで結ぶには遠い印象のある言葉の並びですが、安心して発言・利用できる環境で多様性が保証されている、というのはプラットフォームがしっかりしていなければ到底保つことは難しいと思われます。

 その意味で、多様性を保ちうるだけの強さ、としての質実剛健さもZ世代から支持されてる重要なファクターではないかと思われます。

まとめ

 ここまででZ世代とSNSに関係する界隈を多角的に見てきましたが、総括すると心理的安全性が担保された「安心して使える質実剛健なインフラとしてのSNS」こそが新たなトレンドを生み出す要素ではないかと思われます。

 「安定があるからこそ挑戦できる」という文言を耳にされたことがある方も多いと思います。リアルにしろSNSにしろ安心できるコミュニティがあるからこそ、次に向けて準備したり自己実現を育てられるのではないでしょうか。

 今回は実は前回の「自己表現と多様性 ~ Z世代ってどんな世代?SNSはどう使う?」と同じ記事で、それを前後編に切り分けてリライトしたものでした。とくに、今回の「地方を追い出される」→「渋谷ハロウィン」の考察部分は綺麗にまとまりすぎて我ながら気に入りつつも、「彼/彼女らは本当にこんな目に遭ってきたのだとしたら」と考えると恐ろしさすら感じています。

 当事者たるZ世代、特に地方出身の皆さんからすれば結果的には「ほぼ勝てない椅子取りゲームを強要された」ことになりますが、前編3章の心理的安全性とACROVE荒井社長の件にもあった通り、この逆境を知って成長段階にあるデジタルネイティブという性質は代えがたい強みではないでしょうか。

 その強みに期待をしつつ、私も若い世代に期待をするような歳になったことも思い知らされます。筆者は今年35歳になるY世代なので致し方ないことですが、何か月か先にあるバリウムの刑執行を震えながら待ちつつ、本記事の締めといたします。